水滴
2016年5月31日(火)にテレビ朝日系列で放送された「林修の今でしょ!講座」は3時間スペシャルで、「梅雨の時期に林修が学びたかった講座の3本立て!」と題して、梅雨時期にどうしても気になる問題を取り上げた講座が3つ行われていました。


行われた講座のひとつに、「低気圧と病気の関係」にスポットライトを当てた講座がありました。

昔からまことしやかに囁かれている雨と体の不調の因果関係。

低気圧が近づき、曇りや雨になると、例えば頭が痛くなってきたり、体の節々が痛むという関節痛が出てきたりと、そんな症状に悩まされている方が大勢います。

まったくもって雨になっても不調にならない人からは、「嘘やろ!?」と疑いの目を向けられることもしばしばありますが(苦笑)、この低気圧と病気(身体の不調)の間には密接な関係性があるんです。


低気圧が近づくことで体に不調をきたすことを「気象病(天気病)」と言います。

今回の「林修の今でしょ!講座」では気象病の名医をスタジオに招き、「気象病のメカニズム」を解き明かしていました。気象病の背景には、聞けば納得の理由があったんです!


以下、番組内でレクチャーされた「気象病に関する情報」を簡単にまとめました。また、対処法・改善法も併せて解説されていましたので、この情報もまとめました。

天気が愚図つくとどうも体調が悪くなるという方は、ぜひ参考にしてみてください♪


ちなみに気象病に関する情報をレクチャーしてくれたのは、天気が引き起こす病のスペシャリスト・愛知医科大学医学部客員教授の佐藤純先生です。

医者
天気と病気の関係
天気が悪い時の体の不調は、迷信や気のせいではなく、ちゃんとした医学的根拠のある症状なんです。

気象と健康の関係は、海外では100年以上前から研究されているとのこと。


天気の変化は、頭痛やめまい、はたまた脳卒中や心臓発作などを引き起こす要因になりかねません。カギとなっているのは「低気圧」。

そもそも気圧とは、空気による圧力のこと。低気圧とは、端的に言えば周囲よりも気圧が低い部分のことを指しています。

で、これから梅雨時期にかけては低気圧が日本列島を通過しまくるわけですが、この低気圧がさまざまな病気の誘因になっているんだとか。


以下、番組内で注意すべき病気・症状と、それらの対処法を簡潔にまとめました。



片頭痛
低気圧は、片頭痛の要因になっています。

最新の研究報告によって、平均気圧の1013hPa(1気圧)から6~10hPaほど気圧が低下すると頭痛が起こりやすくなるということがわかりました。

なので低気圧がバンバンと通過する梅雨時期の6月には、片頭痛が発生しやすいというわけ。


◆メカニズム
梅雨時期に頭痛が増えるのは、低気圧によって脳内の血管が拡張するからだと考えられています。

脳の血管が拡張すると、周囲の神経を圧迫することになるので、これが頭痛につながっているとのこと。



◆予防法
片頭痛対策に有効だと期待されている栄養素があります。

それは「マグネシウム」と「ビタミンB2」の2つ。


マグネシウムは、神経の興奮を抑えて安定化させる働きに効果が期待できます。

ビタミンB2は、片頭痛の発生を抑えるセロトニンという物質の放出を促す効果が期待できます。


これらの栄養素を含むものを積極的に摂っていけば、片頭痛の予防はばっちりというわけですね♪



また片頭痛になってしまった場合は、強い光を避け、部屋を暗くし、頭を冷やすようにします。冷やすことで、血管の拡張を抑えることができるため、片頭痛の痛みを抑える上では有効だと考えられています。



肩こり・腰痛・関節痛
肩こり・腰痛・関節痛も、低気圧が関係しています。

雨が降る前や振っている時は、これらの痛みが増すというのはよく聞きますよね。


◆メカニズム
肩こり・腰痛・関節痛の痛みが増すのは、「耳」が関係しています

耳の「三半規管」と「蝸牛」という部分が重要。

三半規管は平衡感覚を司り、蝸牛は聴覚を司っています。三半規管と蝸牛の間の「前庭」というところが気圧を感知していると考えられています。


耳が低気圧をキャッチすると、脳に伝わる情報にギャップが起こり、自律神経が興奮してしまいます。

低気圧になると、蝸牛の中のリンパ液が揺れ、体が揺れているという信号が脳に伝わってきます。しかし実際には体は揺れていません。目からは揺れていないという信号が脳に送られるので、ここでギャップが生じることになります。すると脳は大混乱。

この情報のギャップを埋めようと、脳の中の自律神経が調整し続け、疲れ果ててしまいます。

自律神経と痛覚神経はつながっているので、自律神経が興奮することによって、痛覚神経の方も刺激されてしまい、その結果、肩こりや腰痛、関節痛が出てくるというわけです。



◆対処法・対策法
低気圧による肩こり・腰痛・関節痛対策に有効とされているのが、「酔い止めバンド」。

酔い止めバンドとは、手首に装着すると、ちょうど内側にあるイボが酔い止めのツボに当たり、酔い止めの予防効果が期待できるという代物。

低気圧による肩こり・腰痛・関節痛と乗り物酔いは発生のメカニズムは似ているため、酔い止め対策がそのまま低気圧による肩こり・腰痛・関節痛対策になるというわけです。



肺塞栓症 
肺塞栓症とは、あまり聞き慣れない病気ですが、エコノミークラス症候群とよく似た病気です。

エコノミークラス症候群とは、長時間同じ姿勢でいたためにできてしまった血栓が肺まで流れ、呼吸困難を引き起こす恐ろしい病。

肺塞栓症も、同じく血栓による詰まりの病気になります。


実は気圧が低いと、血栓ができやすくなってしまうんです。低気圧によって体の組織がむくみ、筋肉のポンプ機能が低下して血流が滞ってしまうとのこと。

なので気圧が低い日には、肺塞栓症のリスクが高まるんだとか。



◆予防法・対策法
肺塞栓症の予防法としては、「足指グーパー運動」というのが有効。

「足指グーパー運動」とは、その名のとおり、足の指をグーにしたりパーにしたりというのを繰り返す運動になります。血栓ができるのを防ぐ効果が期待できるとのこと。

厚生労働省が発表した、れっきとしたエコノミークラス症候群の対策法になります。

1日10回を3セットほどすればOKとのこと。



脳卒中
命にかかわる怖い病気の脳卒中。

実は低気圧になると、脳卒中になるリスクがアップしてしまうんです。


◆メカニズム
脳の中の血管に流れる血液の量が変化することで、脳卒中は引き起こされます。

低気圧で血管は膨張します。血管が拡張した分、血液の量が増えます。つまり太くなった血管に、たくさんの血液が流れるという、非常に危ない状況になってしまうというわけですね。

脳内出血と大気圧の関連を調査した最新のデータによると、低気圧の時に深部脳内出血が多いというのがわかったとのこと。つまり気圧が低いと血管が切れやすくなり、脳卒中のリスクが高まるというのは医学的に立証が進んでいるということです。



◆予防法・対策法
脳卒中など血管系の病の予防として有効だとされているのが、食生活の改善です。

特に、塩を減らし、積極的にお酢を摂るようにすると有効だとされています。

血液中の塩分が増えると、水分と結びつき血液量が増えてしまいます。丈夫な血管ではない部分に大量の血液が流れると非常に危険なので、減塩が大切なんですね。

塩の代わりにお酢を使うことで、しっかりと血管を健康に保ちましょう!



心臓発作
低気圧の時は、心臓にも過度な負担がかかってしまいます。

突然の心臓発作で命を落としてしまうなんてこともあるので、十分注意が必要です。

心臓発作とは、動脈がけいれんして狭くなったり、血栓で塞がってしまうような病状を指します。


◆メカニズム
低気圧によって心臓発作が起こりやすくなるメカニズムは、先の脳卒中と似ています。

全身に送る血液量が増えると、ポンプの役割をしている心臓にすごく負担がかかるようになります。この大きな負担が心臓発作につながっているとのこと。



◆予防法
心臓の負担を減らすには、血流を改善することが重要。

血流改善を期待できる栄養素が、「ラクチトトリププチド」、「魚肉ペプチド」、「オメガ3系脂肪酸」の3つ。

「ラクチトトリププチド」は発酵食品類に多く含まれており、「魚肉ペプチド」は魚類、「オメガ3系脂肪酸」は青魚やアマニ油に多く含有されています。


「ラクチトトリププチド」と「魚肉ペプチド」は血圧を上げる成分の働きをブロックする効果が期待できます。

「オメガ3系脂肪酸」は、血液中の中性脂肪を減少させ、血流を改善する効果が期待できます。


これらの栄養素をバランスよく含んだ料理として推奨されていたのが、「イワシのなめろう」。

イワシの身には魚肉ペプチドが含まれており、イワシの脂にはオメガ3系脂肪酸が含有されていますし、味付けに使われている味噌にはラクチトトリププチドが入っており、まさに心臓発作対策にはもってこいの料理と言えるとのこと。



さいごに
以上、番組内でレクチャーされた「気象病の理由と対処法」の簡単なまとめでした。

気圧と病気の関係、非常に興味深かったですね~。今度から天気を見る目が変わりそうです。

雨が降っている、あるいは雨が降りそうだという時は、ぜひ上記の情報を参考にして、しっかりと予防線を張っていってください!