中国の食品加工会社「上海福喜食品」が、期限切れの鶏肉を使用していたことが発覚し、しかもその鶏肉を日本のマクドナルドとファミリーマートが使っていたこともわかり、日本で社会問題化しています。いわゆる「ナゲットショック」ですね。

期限が切れ、明らかに腐った鶏肉が平気で使われていたり、床に落ちた鶏肉を拾い上げて使用したりなど、企業倫理の片りんすら感じない映像に、ショックを受けた方も大勢いらっしゃるでしょう。私もそのひとりです。

現地中国のマクドナルドの視察が帰った途端、期限切れの鶏肉の加工を始めるなどの狡猾さに、底深い計画性・常習性を感じました。



ことさら中国企業の倫理観が議論の中心になっています。

もちろんこの事件を起こした企業の倫理意識は厳しく糾弾されるべきですが、特段日本の企業倫理が優秀だとは私は思いません。私は大学時代に「企業のクライシス・コミュニケーション」についての論文を1本書いたんですが、日本企業の倫理意識と危機対応の能力は、その対応する部署の知識の累積のなさも含めて特別高くはありません。

「雪印」、「日本ハムの牛肉偽装」、「不二家」、「赤福」、「船場吉兆」、「ミートホープ」、「白い恋人の消費期限の改ざん」、近年では「有名ホテルなどの食材偽装問題」など、日本の食に関する事件・問題は枚挙に暇がありません。

人間はおもしろいほど忘れていく生き物なので、これらを覚えてらっしゃる方、パッと思いだせる方は少ないと思います。しかし、消費者主権の視点から、これらの不祥事を忘れることなく、消費者が常に厳しい目で企業の行動を監視し、不適切なことが起こったら、あるいは可能性を感じたら、しっかりと声をあげていくことが、企業倫理を向上させる必要条件です。

なぜなら企業は消費者から必要とされなければ、社会に存続することはできないからです。この点から言えば、間違いなくお客様は神様なのです。

事件の大きい小さいは当然ありますが、中国の企業、日本の企業限らず、食に携わる企業には高い倫理意識のもと企業活動を行っていただきたいです。「口に入れるものをつくる」ということは、消費者の生命・健康に携わる仕事なのですから。



ファミリーマートと日本マクドナルドは、この件に関して、それぞれ対応策を発表しています。
◆ファミリーマート
・該当商品である「ガーリックナゲット」と「ポップコーンチキン」を発売中止に。再販の予定はなし。

・「上海福喜食品有限公司」に事実確認の調査を行っている。

・該当商品の返金を実施。ただし返金対象はレシートがある購入者のみ。レシート内容をもとに、販売記録を確認したうえで返金を行う。

<ファミリーマートの問い合わせ先>
株式会社ファミリーマート お客様相談室
電話:0120-079-188 受付時間:9時から17時45分(土日を除く)
電話:0120-954-023 受付時間:9時から17時45分(7月26日(土)、27日(日))
URL:http://faq.family.co.jp/(PC・スマートフォン)
    http://faq.family.co.jp/m/(携帯)



◆マクドナルド
・中国製チキンの調達を中止し、中国製のチキン商品の販売を中止した。

・マクドナルドの商品に使うチキンをすべてタイ産に切り替える。該当商品は、チキンクリスプ、チキンエッグマフィン、チキンクリスプマフィン、チキンフィレオ、チキンフィレオハバネロトマト、シャカチキ、チキンマックナゲット、チキンタツタ(7月30日より販売開始)の、計8商品。

・チキンマックナゲットの購入者への返金に関しては、(期限切れ鶏肉が商品に使われるなどの)事実関係の調査結果が出た後に検討するとのこと。

<日本マクドナルドの問い合わせ先>
お客様サービス室
電話:0120-010-916 受付時間:9時から17時
お問い合わせフォームはこちら


以上の、ファミリーマートと日本マクドナルドの対応状況は、2014年7月26日時点のものになります。対応状況に変化があっても、この記事に修正は加えませんので、各々の最新の対応状況に関しては、それぞれのホームページをご覧ください。ファミリマートのHPはこちら、マクドナルドのHPはこちらになります。



今回、ファミリーマートと日本マクドナルドが直接的に偽装を行ったわけではないですが、業務委託先での事件ですから、監督責任の観点から責任は問われてしかるべきです。

企業倫理という視座から考えても、またタイレノール殺人事件の事例というマーケティングの観点から考えてみても、消費者に対して誠実に対応することが、結果的にブランド価値の損失を最小限にとどめてくれるので、最善の対応策になります。ファミリーマートと日本マクドナルドには、情報の隠ぺい改ざんなどをすることのないよう、真摯な対応を求めます。