『有頂天』のジャケット写真
本日2015年1月13日(火)は、B'zの新曲『有頂天』のフライングゲット日! というわけで、さっそくタワーレコードに駆け込み、『有頂天』をフラゲしてきました。


『有頂天』はB'zの51作目のシングルで、前作『GO FOR IT, BABY -キオクの山脈-』から約3年のインターバルがあいています。

この3年の間、『Love Bomb』や『Into Free -Dangan-』などを含む配信限定アルバム『B'z』や、『B'z The Best XXV 1988-1998』に収録されている『Q&A』や『核心』、『ユートピア』など、また昨年は稲葉さん・松本さん双方のソロ曲と、新曲を間断なくファンへ届けてくれてはいるものの、やはりシングルという形での発表というのは特別感があり、大変嬉しいですね。


『有頂天』には、表題曲の『有頂天』と、2nd beatの『Endless Summer』 の2曲が収録されています。


◆『有頂天』
『有頂天』の歌詞カード
『有頂天』は、日本テレビ系土曜ドラマ「学校のカイダン」の主題歌。

B'zは、どの曲も基本的に教科書的な曲構成で、奇をてらうものは少ないんですが、この『有頂天』は若干変則的です。とはいえ、3番がないだけなんですが、松本さんがつくる楽曲を聴き込んでいる人は、唐突にサビが訪れる感じがして、いつものB'zの曲と違った印象を受けると思います。事実、私がそうでした(笑)。

どっしりとくる重厚感と疾走感が共存した楽曲で、そのサウンド・雰囲気は『BIG MACHINE』~『THE CIRCLE』あたりのB'zに近いものがあるかな、と個人的には感じました。

Mステスーパーライブ2014などですでに演奏されていますが、それを観る(聴く)限りでは、なかなかライブ映えする曲だと思います。

「Yeah」のコールアンドレスポンス、『juice』ばりにTAKに密着する演出など、ライブでのパフォーマンス風景というものを、事前にある程度織り込んだ上で制作されたような匂いを強く感じる楽曲ですね。


歌詞に関しては、稲葉さんお得意の「限定的な充足感」・「限定的な幸福感」について描かれています。

稲葉さんの歌詞の世界では、常に「期待」と「不安」、「希望」と「絶望」といったものが表裏一体となっていて、絶対にこの関係性が崩れることはありません。

いくら希望に満ち溢れていても、ちらちらと絶望をのぞかせますし、その逆に絶望のどん底にいても、稲葉さんは必ず一筋の光明を提示します。


「希望」と「絶望」、「期待」と「不安」が常にワンセットでくっついているということは、ちょっとした出来事で、歌詞の中にいる主人公の立ち位置は、簡単に「希望」にも、あるいは「絶望」にも変わってしまうということ。

なので、稲葉さんの描く主人公は、いつも感情に揺れがあり、不安定です。何もかも満たされた、完璧な充足感を味わうことはほとんどありません。

そんな不完全で満たされない世界を生きる主人公は、「限定的」という条件を用いることで、充足感を得ようと試みます。

例えば『ゆるぎないものひとつ』では、周囲からの冷笑や嘲りをはねのけながら、「ゆるぎないものひとつ」を抱きしめることで充足感を得ています。

世の中にあるさまざまなこと・あらゆることすべてを得て幸福感を得るのではなく、そのさまざまなことをそぎ落としていき、残った「ゆるぎないものひとつ」だけを抱きしめることで、幸福感・充足感を得ようとしているという構図ですね。


毛色は違いますが、『BURN-フメツノフェイス-』でも、この「限定的」という条件が描かれています。

本当ならば多くの人の記憶の中に自分という存在をとどめておきたいけれど、それは不可能。だからせめてあなたの中にだけでもとどめておきたいという想いが、『BURN-フメツノフェイス-』の主人公の行動原理です。


これらと同じように『有頂天』でも、この「限定的」という条件付き充足感が見受けられます。

余裕のない日々を送る主人公は、君という存在に勇気を注ぎ込まれることで有頂天になることができます。しかしそれは、「今夜だけ」という限定的な有頂天(=充足感)。

このように、稲葉さん特有の「限定的な充足感」がまさに『有頂天』の歌詞世界の中でも展開されています。


ここからはさらにたちの悪い邪推になってしまいますが(笑)、『有頂天』の歌詞は、ライブでパフォーマンスをしている稲葉さん自身を表現しているのではないか、と私は考えています。

【今夜だけ】は、「ライブで歌っているこの時間だけ」という意味。

【ゼロになるまで自分を燃やし尽くしたい】は、よく稲葉さんがライブで口にする「空っぽになる」という表現に類似します。

【眩しい光よ降りそそげ】は、ライブで浴びるスポットライト。

こんな感じで、パズルのピースがハマるように、『有頂天』の歌詞とライブでの稲葉さんがつながっていきます。

【君】の解釈は、非常に微妙ですね。松本さんともとれるし、自身を支えてくれているファンとも考えられます。もしかしたらその両方を兼ねているのかもしれません。

ま、どちらにせよ、ライブでの稲葉さんは、確かに有頂天ですもんね(笑)。


最後の【今だけを満たしたい】という歌詞が、実に稲葉さんらしく、私は好きです。



◆『Endless Summer』
『Endless Summer』の歌詞カード
B'zの25周年を記念したPleasureツアー「B'z LIVE-GYM Pleasure 2013 -ENDLESS SUMMER-」で初披露された曲。

映像化はされましたが、音源化はされていませんでした。私はてっきり『Logic』的な扱いになる楽曲なのかと思っていたんですが、このたび無事に音源化に至った次第です(笑)。

このエンサマはもうね、最高ですよ、はい。

どうしてもこれはPleasureツアーでの演奏が想起され、いわゆる想い出補正が働いてしまうため、もう良い曲にしか聴こえません! 反則ですね、これは(笑)。



歌詞の方は、日本の異常気象を憂う言葉から始まり、全体としては「盲目的であることへの警鐘」を多分に示唆する内容になっています。

惜しくもないモノ・欲しくもないモノにまわりをガチガチに固められ、本当に自分にとって必要なモノが見当たらないという盲目的な状況の滑稽さ。でもそれらを失うことへの恐怖も同時に抱いていて、身動きの取れない状態に、疲労が重なっていきます。擦り切れた日々の連なりにストレスを覚え、たまに弱い者を小突いて憂さを晴らしたりする荒れ果てよう。

この行き詰った状況を打破するために、不自由さを生む元凶をすべて捨ててしまえばいい、と稲葉さんは説きます。今までため込んできた、それら何もかもを捨てて、真っ裸になることで、譲れないものが見つかることがある。

そうやって変化を恐れず、潔く変わっていくことも強さである、というのがエンサマの歌詞の大枠ですね。


タイミングを見計らう必要はない。

なぜならこの世界は【Endless Summer】なんだから、さっさとその不必要なシャツを脱ぎ、何にも縛られない真っ裸で走り出せ(=変わってしまえ)、と稲葉さんが鼓舞しているように聞こえます。


私は『有頂天』よりも断然『Endless Summer』の方が好きです! というか、近年発表された楽曲の中では一番好みかもしれません♪ カッチョイイ!(笑)

両A面シングルでもよかった気がしますが、2013年に披露し映像化もしているという点から厳しかったんでしょうかね。




『有頂天』は通常版と初回限定版の2種リリース。

初回限定版の方には、EX THEATER ROPPONGIのこけら落とし公演『B'z Special LIVE』で演奏された楽曲の中から、厳選された9曲のライブ映像がついてきます。

また先着購入特典としてポスターやオリジナルアナザージャケットが用意されていたりと、しっかりと販促要素を盛り込んできています。ビーイングさんらしい(笑)。


B'zファンの人はもちろん、そうじゃない方も、ぜひ『有頂天』を聴いてみてください♪