
放送開始から、もう15年も経過していますが、その人気は健在! 最新シーズンである「season13」は、どの回も平均視聴率15%以上を獲得していて、安定した人気ぶりを示しています。
で、その「相棒season13」の最終回が今月の18日(水)に放送されました。
この回は、3代目相棒を務めた成宮寛貴さんの卒業回であり、世間的な注目度がかなり高かった回。私も結構な相棒フリークで、この最終回を大変楽しみしていたひとりです。
残念ながらリアルタイムでは観られませんでしたが、やっとこさ録画してたものを観ることができました。
が、いろんな意味で衝撃的でした(苦笑)。
以下、「相棒season13」の最終回の個人的な感想です。
ネタバレを含んでいますので、ストーリーの内容を知りたくない方は注意してください。

ダークナイトさん・・・
法の目をかいくぐる悪党だけを狙った連続暴行事件の犯人「ダークナイト」が登場します。法の目を巧みにすり抜け悪事をはたらいている悪党を、暴行し懲らしめる「ダークナイト」。警察が手が出せない悪党に制裁を与えるというヒーロー像から、ネット社会では「正義の味方」という向きが強くありました。
ただし、もちろん日本は法治国家。暴力による制裁は許させるものではありません。
最終的に、右京さんの活躍によって「ダークナイト」は逮捕されます。
で、最終回のストーリーは、この「ダークナイト」が成宮さん演じる甲斐享だったというオチで着地します。
いろんな意味で衝撃的です(苦笑)。
「倒叙もの」って・・・
「ダークナイト」がカイト君だったということをはじめ、いろんなところに違和感を覚えたストーリーでしたが、私がまず首をかしげたのは、「倒叙もの」というストーリー展開を採用している点。「倒叙もの」とは、推理小説・推理ドラマにおける物語の展開方法のひとつ。犯人の犯行を読者・視聴者に見せておいてから、主人公が推理によってその犯人を追いつめていく過程の方に力点を置き、読者・視聴者を楽しませるスタイルです。
つまり、端から「犯人」が明確にわかった状態にあり、読者・視聴者は、主人公が一体どういった推理によってこの犯人にたどり着くのかを楽しむわけです。
ま、早い話、「古畑任三郎」のやり方・見せ方が「倒叙もの」ですね。
「相棒」は基本的に「倒叙スタイル」を採用していません。
最後の最後まで犯人を明かさずに、クライマックスで、「えっ!? まさかこの人が犯行を!?」的な驚きを視聴者に与えるという展開方法が大半です。
なのに、なぜかしらの「倒叙スタイル」。う~む・・・。
いや、別に「倒叙スタイル」でもいいんですが、問題なのは「倒叙スタイル」になっていないという点です。
番組冒頭部分で、「ダークナイト」としてカイト君が犯行を行っている映像が流されます。で、最終的に右京さんがたどり着いた「ダークナイト」の正体はカイト君。これだけ書くと、「倒叙スタイル」が成立しているように思いますが・・・。
最終回のストーリー展開は、厳密言うと犯人が示された上で、動機部分が鮮明化されていないので「半倒叙」にカテゴライズされると思います。
で、あるならば、物語の性質上、カイト君が「ダークナイト」になった動機部分がしっかりと描かれていなければ、ものすご~くチープな物語になってしまいます。
で、実際にその部分がえげつないほどチープなので、超安っぽい物語に仕上がってしまっているんです。カイト君が「ダークナイト」にならざるを得なかった理由が希薄なので、いち視聴者としてなんの納得感も、満足感も、カタルシスも得られませんでした。
もっといえば、私は最初、「倒叙スタイル」として観ていませんでした。
はは~ん♪ どうせ最後に大どんでん返しがあって、カイト君のほかに犯人がいるんだなという感じで観ていました。だって、今までの「相棒」というドラマの演出・性質がそうだったから・・・。
でも、最終的に「ダークナイト」はカイト君という結末で着地。
「相棒」の脚本としては、あまりにもひねりがなさすぎます。トリックの秀逸さ・すばらしさは皆無で、そこに楽しみは見出せませんでした。
「トリックの緻密さの説明」に時間を割かない分、登場人物たちの感情の移ろいがしっかりと描かれるべきですが、そうなっていないので消化不良・・・。
ものすごく単純で、表面的な物語が、ただ淡々と進んでいくのみで、唯一の驚きというのが、「ほんまに犯人がカイト君やった」ということだけ。
なんかね・・・。
とってつけたような・・・
ストーリーの稚拙さもアレですが、もっとすごい違和感が、最終回の「とってつけた感」。ストーリーの中で、2年ほど前からカイト君は「ダークナイト」として犯行を行ってきたと語られています。
つまり、右京さんとタッグを組んで、正義と法律、警察権力と言う傘のもと、バンバン凶悪事件を解決してきたその裏で、カイト君は「ダークナイト」として動いていたわけですね。
でもこの「ダークナイト」の存在が視聴者に明らかにされたのは最終回になってから!
2時間という限られた放送時間の中で、十分な伏線も張りきれておらず、ポンと「ダークナイト」が出てきて、あれよあれよという間にカイト君がお縄になっちゃったという・・・。
唐突感ハンパない!(笑)
せめて! せめてですよ? 百歩譲って、シーズン13の各話のどこかで「ダークナイト」の存在をにおわす様な伏線があってしかるべきです。
この「とってつけた感」が、先述の物語のチープさをさらにアップさせているので、目も当てられません。
一番の罪
この最終回の大罪は、成宮さん演じる甲斐享の3年間を台無しにした点。甲斐享のあの正義の行動も、あの言葉も、あの想いも、すべて「ダークナイト」のそれら。
「ダークナイト」というフィルターを通して「甲斐享の3年の月日」を見ると、それは瞬く間に形骸化し、あの正義の行動も、あの言葉も、あの想いも、すべて薄汚れたそれらに変容してしまいます。
最終回の脚本の最大の汚点は、これまで視聴者の頭に作り上げた「甲斐享の正義」を、ぶち壊しにしてしまったという点。
みんな大好きなドラクエで例えますと、ラスボスとの対戦で、一生懸命「スカラ」で守備力をあげてたのに、知らぬうちにラスボスに「いてつくはどう」をくらってて、さらに会心の一撃をくらわされた感じ・・・とでも言えましょうか。チート的な強さに、呆然とするしかありません・・・。
「相棒」って頻繁に再放送が行われていますが、どんな気持ちで「右京withカイト君」の「相棒」を観ればいいんでしょうか・・・。悩ましいところですね。
さいごに
親父さんとの確執も、なんやかんや曖昧な感じで終わってしまいましたし、何より恋人・えっちゃんが・・・。色々とモヤモヤとしたものが残ってしまうラストでしたね。
しかし、それでも私は、「相棒season14」を観るでしょう。
どう転んでも、私は「相棒」が好きなのです、やっぱり♪