
今年2月に放送された科学的調理法シリーズの第2弾になります。前回の放送では、これまで常識を覆すような調理法ながら、とても簡単に作れる絶品料理レシピが紹介され、大反響を巻き起こしました!
これまでの通例をことごとく裏切る調理過程に度肝を抜かされましたが、どれも科学的根拠に基づいたものなので、完成した料理は極めておいしいものばかり。
科学的調理法のすごさに圧倒されたわけですが、今回も前回に負けず劣らずの充実した内容でした♪
今回は、「ステーキ」、「トンカツ」、「パスタ」という3品目の科学的調理法がレクチャーされていました。
以下、この記事では、「科学的なおいしいステーキの作り方」を簡単にまとめましたので、おいしいステーキを自宅で食べたい方はぜひ参考にして下さい!
もちろん科学的調理法を伝授してくれたのは、今回もフランス料理シェフ・料理研究家の水島弘史さんです。

科学×ステーキ
今回は科学の力を借りて、特売肉の安い牛肉を、高級ステーキの味わいにしてしまおうという試み。安い牛肉が持っている香りがない、かたい、ジューシーさがないという欠点を、科学的調理法によって補いつつ、安い牛肉と高級ステーキ肉との間にある差を縮めていきます。
以下、「①食材選び」、「②下準備1」、「③下準備2」、「④低温のオーブンで焼く」、「⑤フライパンで焼く」、「⑥アルミホイルに包み、休ませる」、「⑦ソース作り」の7つのステップに分けて、科学的ステーキ調理法を解説します。
①食材選び
まずは主役である牛肉選びから。特売の安い牛肉ならなんでもいいわけではありません。
肝心なのは、赤身肉を使用すること!
その理由は、お肉自体のおいしさを決定する大部分の要素が、「赤身」であるため。実は脂身よりも赤身の方に格段に多く、お肉のうま味成分である「アミノ酸」が入っているんです。
ただ赤身肉というのは焼くのが難しいという事情があるんですが、水島シェフはその難しさを科学的調理法で見事にフォローし、特売肉で高級ヒレステーキの味を再現してくれます。
水島シェフいわく、この調理法なら、100g300円の肉を、100g3000円クラスのお肉の味わいに近づけられるんだとか!
②下準備1
まず、サラダ油で浸したキッチンペーパーで、お肉を包んでいきます。
キッチンペーパーで包んだお肉をトレーにいれ、上からサラダ油をかけていきます。
結構ギトギトになるくらいの量を投入したあと、キッチンペーパーごとお肉を取り上げ、それを両手の間で転がすようにして、しっかりとお肉を油に浸していきます。
この工程は、お肉の臭みを取るために行います。安いお肉はどうしても臭みが出てしまいますので、この工程は必須ですね。
ちなみに油でギトギトになってカロリーが心配・・・という方も多いと思いますが、このあとお肉を焼いて行く工程で、油っぽさはキレイになくなってくれるので大丈夫です♪
③下準備2
キッチンペーパーからお肉を取り出したら、次いでスライスした牛脂をお肉の両面全体に並べ、再び新しいキッチンペーパーで包みます。
この工程は、香りづけをしていくところになります。安いお肉と言うのは、やはり香りが希薄なので、牛脂を使用することで高級肉らしい香りをしっかりとつけていきます。
和牛の牛脂には、「和牛香(ラクトン)」と呼ばれる、甘く良い香りを出してくれる物質が多く入っているので、これによって安い肉の香りの少なさを補います。
包む際のポイントは、お肉の両面にすき間なくスライスした牛脂を並べること。お肉の両面に牛脂を並べるので、ちょうど牛脂によってお肉がサンドされている形になります。
これをキッチンペーパーで包んだら、この工程は完了です。
ちなみに牛脂がお肉の方に染み込むということはなく、ホントに香りづけなので、カロリーの心配はいりません。
④低温のオーブンで焼く
ここまでの工程で十分科学的調理法の真骨頂は発揮されていますが、ここでもこれまでの料理の常識を覆す工程になります。
フライパンで焼く前に、低温のオーブンで焼き、火を通してしまいます!
そもそもお肉というのは、急激に熱すると細胞が収縮し、水分と旨味が逃げてしまいます。なのでフライパンで焼く前に、低温のオーブンで焼くというのは、肉汁や旨味を逃がさないための賢い方法になります。
オーブンで焼く際の注意点としては、お肉の下面が熱くなりすぎないようにするため、網を敷いた上にお肉をのせるようにします。もちろんこのお肉は、牛脂でサンドされ、キッチンペーパーで包まれた状態のものです。
120℃のオーブンで15分焼いたら裏返し、さらに10分焼きます。焼き上がったお肉は、正面がうっすら白くなっていればOKです。
⑤フライパンで焼く
オーブンからお肉を取り出したら、キッチンペーパーと牛脂を取り除きます。
次いでフライパンで焼いて行くわけですが、焼く前にお肉の両面に塩をふりかけます。オーブンで焼く前に塩をかけてしまうと、お肉の水分が出てきてしまうのでNG。このタイミングで塩をします。
ふりかける塩の量は、食材の重さに対して0.8%になります。120gのお肉を使用しているなら、適切な塩分量は120×0.0008という計算式で、1gほどが最適な量ということになります。
素材の総重量に対して0.8%の塩分量を使用する理由は、その比率が人間の体内の塩分濃度と近いため、自然とおいしく感じられるため。
塩をふりかけたらいよいよ焼いていきます!
強火で熱したフライパンに、先ほどオーブンで一緒に焼いた牛脂を入れ、そこにお肉を投入。両面に焼き色がつけばOKなので、時間にして30秒ほど。あっという間です(笑)。
林先生は「焼き目はアリバイ」とおっしゃってましたが、言い得て妙ですね(笑)。
焼き目がついたら、お肉を取り出し、胡椒をふりかけます。ポイントは熱々のフライパンの上でふりかけないことです。フライパンの上でふると、焦げてしまって嫌な苦みが多く出てしまうので要注意!
お肉の余熱で胡椒の風味を活かす感じですね。
⑥アルミホイルに包み、休ませる
焼き上がったら終了ではなく、もうひと手間あります。それはずばり、焼き上がったお肉をアルミホイルで包んで、休ませてあげるという工程。
焼き上がったばかりの熱々の状態だと、お肉の中の水分は活発に動いています。アルミホイルに包み、いわば保温状態でしばし時間を置くと、お肉の温度が下がっていくとともに、中の水分の活動も落ち着いてきます。
水分の動きが活発な時にナイフで切ると、肉汁が流れ出てしまいます。当然肉汁の中にはお肉の旨味がぎっしりと詰まっているので、非常にもったいない行為です。
時間を置いて水分の動きが落ち着いてから切れば、そういうことが起きないので、お肉の旨味を存分に味わうことができるというわけ。
非常に理にかなった調理方法なんですね~♪
⑦ソース作り
最後はソース作り! 味の決め手にもなるソースですが、ここでももちろん科学的知識が盛り込まれています。
水島シェフが推奨するソースは、「赤ワイン」と「みりん」をあわせたもの! 普通赤ワインにみりんをあわせようなんて思いませんが、これらをあわせることで、科学的に最高のステーキソースに仕上がってくれます。
そもそも赤ワインとみりんの両方にはアルコールが入っているので、一緒にして加熱すると、アルコールが飛び、両方に含まれている旨味のみが残り、非常においしいソースに仕上がってくれるとのこと。
<科学的ソースの作り方>バターを溶かす際のポイントは、乳化をさせるということ。
①ワイン30g、みりん20gを加熱しながら混ぜ、とろみが出たら塩0.4gを加える。
②①の中にバターを加え、かき混ぜながら溶かしていく。
③完全にバターが溶け切れば、ソースの完成。
乳化とは、普段混ざり合わない油分と水分が限りなく均等に混ざり合う現象のことを指します。これを行うことで、ソースがグッとおいしく仕上がります。
ポイントはかき混ぜ方にあります。
お鍋の端にバターを置いたら、その反対側にあたるお鍋の端付近を泡立て器でかき混ぜます。
こうすると、溶けたバターが泡立て器の中に吸い込まれていき、ソース全体がとろみのついたおいしい一品になってくれます。
寝かせたお肉に、このソースをかけたら、「科学的ステーキ」の完成!
さいごに
以上、番組内で紹介された「科学的なおいしいステーキの作り方」の簡単なまとめでした。安い肉を、肉汁がしっかりと中に閉じ込められている上に、やわらかさも天下一品の高級ステーキの味に仕上げることができる調理法。
試食したV6の井ノ原快彦さんいわく、「こんなに美味しいんだったら、特売肉の方がいいですね」とのこと(笑)。
ぜひ料理好きの方はチャレンジしてみてください!
<その他の科学的調理メニュー>
◆科学的カレーライス
◆科学的餃子
◆科学的炊き込みご飯
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◆科学的とんかつ
◆科学的ハンバーグ
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◆科学的冷めてもおいしいお弁当料理3品
◆科学的調理法を利用したアレンジレシピ3つ